『星合の空』はケータイ小説である、という仮説
日曜日、ベッドでブログ書いてます
どうもリンスです
秋クールのアニメもそろそろ折り返しでしょうか
皆さんも取捨選択は進んでいますでしょうか
「俺は何も捨てねぇ!」という主人公気質な貴方。素晴らしいです、そのままの貴方でいてください
そんなこんなでリンスが“良くも悪くも”一番目が離せない作品、それは・・・
『星合の空』
あらすじはというと・・・
これだけ読むと“ちょっと意識の高いラブライブ男子版”という感じですね
でもこの作品、女子ファンを芋づる式に獲得できそうに見えて
その実、すごくハードな作品なんですよね
今回は星合の空のハードさについて考えてみよう、の回です
【みんな、家庭で問題抱えすぎ問題】
この作品をハードなものにしている理由、それは・・・
- 虐待する親
- 兄弟を同等に愛さない親
- 嫁姑の仲が悪すぎる
- 実は養子だった
など、みんなが家庭で問題を抱えていることなんです
もちろん、フィクションというドラマを作るために上記のような不幸要素を設定することは少なくありません
むしろ不幸要素なくしては、ドラマの起伏やキャラの深堀って難しいですしね
しかーし、本作はやり過ぎでは?とリンスは考えます
やり過ぎ要素① 数が多い
確かに不幸要素はドラマ形成において役に立ちます
でも(おそらく)全てのキャラクターに不幸要素があるのはやり過ぎです
長期に渡って続く作品なら避けられないことでしょうが、1クールの作品でこれだけやられると流石にお腹いっぱいです
「こいつはこんな悲しい過去があるんやで〜、同情したってや〜」という作り手の作為をビンビンに感じます
これってひと昔前のケータイ小説と同じ手法じゃないでしょうか
wikipedia先生も下記のように仰っています
特にリアル系ケータイ小説では悲劇的な出来事が矢継ぎ早に主人公の少女に襲い掛かるものが多い。その悲劇的な出来事として、ゲームクリエイターの米光一成は「いじめ、裏切り、レイプ(輪姦)、妊娠、流産、薬物、病気、恋人の死、自殺未遂、リストカット」を挙げている。
当時、女子中高生の支持率は圧倒的でしたね
大人たちは眉をひそめる内容でした
ですが、実体験と悲劇のヒロイン願望が合わさった内容は、作者の顔が見えなかったり、そもそもケータイ小説という拙い媒体ということもあり、個人的には子供から子供に向けられたエンタメということでアリなんじゃないかと思います
しかーし、『星合の空』は違います
原作・監督・脚本の赤根和樹さんは57歳のベテランクリエイターです
これだけ歴の長いクリエイターがケータイ小説と同じ手法を使うのって、かなり拙くないかなと自分は思ってしまいます
せめて主人公ペアの眞己・柊真に絞れば、その分彼らの不幸要素にしっかり向き合えるから、こんな安っぽい印象は無くなるのにな
(5話での某キャラの唐突な養子アピール。こんなことされたら視聴意欲が無くなっちゃうよ)
やり過ぎ要素② 描き方が生々しい
この作品、不幸要素が生々しいんですよね
なんかドキュメンタリーとかNスペを見てるような気になります
これは、主人公が虐待親父に遭遇した時のカットです
実際、虐待を受けた子供が虐待をした相手に遭遇したら、本当にこのシーンのようにうずくまってしまうそうです
こちらは虐待親父が主人公の大切なラケットを破壊したシーン
これがアニメーション=動画として描かれるわけです、高いクオリティで
他にも、「離婚しても戸籍上は父親だから、子供の住所を教えてもらえる」と虐待親父が言うシーンがあります
でも、“何も考えない役所が母子の住所を教えて、さらなる犯罪被害を誘発する”というケースって、ニュースでも話題になったりしてますよね
本当に笑えないことです
これらをわざわざアニメーションで表現する必要があるんかいな、他のメディアの役割では、と考えてしまいます
(もっと生々しいシーンはありますが、あえて掲載しません)
一応、本作はソフトテニス部を舞台にした男子中学生の心の機微を緻密に描き出す作品です。これは本当です。実際、男子中学生の拙さはよく描かれています。
でも、ここまであからさまな虐待描写を出したら、親父が警察に捕まるくらいしか物語にオチをつけられない
そして親父の逮捕オチは、アニメーションとしてよい後味を残さないと思うんですよね
実際、これからも主人公の人生は続いていくわけで、たとえ逮捕されて実刑判決を受けたとしても、結局自らの人生において無かったことにはならない
そんな重さ・悲しさ・やるせなさをアニメーションで描く必要があるとは思えない
頭空っぽなアニメを礼賛しているわけではありません
意欲的な取り組みは評価されるべきですし、本作もすごく挑戦的な作品で目が離せません
しかし、アニメーションにするには流石に生々しいなと思ってしまいます
皆さんはどう思われますか?
結論
なんか普段とは違うノリで熱く綴ってしまいました
改めて冷静に考えると、結局この作品の役割って、かつてテレビドラマが担っていたものだと思うんですよね
『GTO』のようなフジテレビ火曜9時のドラマに代表される“その時代の社会問題”を絡めた学園青春ストーリーに似ています
『ごくせん』や『金八先生』もこれに該当するでしょう
でも、今の若い子ってテレビ観ないですよね
番組も中高年をターゲットにしたものばかり
月9も恋愛から、一話完結な刑事系・お仕事もの・謎解きものにシフトしています
そんな時節だからこそ、中高生が憧れと共感を抱ける作品を、若者のメディアたるアニメで描くことに意味がある、と赤根和樹監督は考えられたのでしょうか?
だとすると、ケータイ小説のような描き方は中高生をターゲットにする上では、完璧な手法のように思えます
社会人は本作にはお呼びではないのかもしれません。。。
(このPVに作品の要素が全部詰まってましたね。やはり本作は中高生向けです、とてもいい意味で)